東京高等裁判所 昭和57年(行ケ)130号 判決
一 請求原因事実はすべて当事者間に争いがなく、右事実及び成立に争いのない甲第一、第三、第四号証によれば、引用例に前示のような紡錘状のスラブ以外の形態のスラブを有するものも示されているものとし、本件発明と引用例記載の発明とは作用効果も同じであるとした審決の認定は誤りといわなければならない。
してみれば、審決は、右認定の誤りの結果、本件発明と引用例記載の発明との構成及び作用効果における重要な相違点を看過して、本件発明が引用例記載の発明に基づいて容易に発明しえたとしたものであつて、その判断は誤りというべきであるから、審決は違法として取消されねばならない。
二 よつて、審決の取消を求める原告の請求を認容することとする。
〔編註〕 本件特許発明に関する事項は左のとおりである。
一 特許庁における手続の経緯
原告は、名称を「複合フアンシーヤーン」とする特許第九一〇九〇〇号発明(昭和四三年一〇月三日特許出願、昭和五〇年一一月一三日出願公告、昭和五三年六月一四日登録。以下「本件発明」といい、その特許を「本件特許」という。)の特許権者であるが、被告が昭和五三年九月二〇日本件特許を無効とする旨の審判を請求したところ、昭和五三年審判第一四〇二六号事件として審理され、昭和五七年四月一六日本件特許を無効とするとの審決があり、その謄本は同年五月二四日原告に送達された。
二 本件発明の要旨
少なくとも二種のフイラメントが同時に仮撚捲縮加工を施して得られるフアンシーヤーンにおいて、一方のフイラメントは比較的直線状で芯部に配置され、他方のフイラメントは芯部のフイラメントの周囲に少なくとも一重スパイラル部と三重スパイラル部とを交互に形成して巻きついた複合フアンシーヤーン。